皆さんこんにちは。東京都品川区大井町にある大井町駅前歯科クリニック院長の大倉です。
私たちが一般的に「むし歯」と呼ぶのは歯に穴があいて着色が生じてしまった状態を指すことが多いです。
しかし、実際に口の中では目に見えないレベルで歯が溶けてむし歯ができ、
それを修復するという作業が毎日繰り返し行われています。
これが歯の「脱灰」と「再石灰化」と呼ばれます。
歯の表面のエナメル質を形成しているのはほとんどが「カルシウム」と「リン」という
ミネラル成分ですが、これらはごく弱い酸性度(pH5.5)で溶け出してしまいます。
食事をしたり、甘い飲み物を飲んだりすると、口の中に生息している虫歯の原因菌が糖を取り込み、
分解して酸を生成します。
この酸によって、歯の表面からミネラル成分が溶けだすことを「脱灰」といい、
この状態が続くと本格的なむし歯ということになります。
この「脱灰」を食い止める役割を果たすのが、だ液です。
だ液は酸を洗い流して口腔内を中性に戻すばかりでなく、
だ液中に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分が歯に取り込まれて修復の材料になります。
これが「再石灰化」と呼ばれる現象です。
むし歯を発症させないためには、この「脱灰」と「再石灰化」のバランスを保つ必要があります。
しかし、歯が酸にさらされる時間や回数が多いと、歯の脱灰が続き、再石灰化が進行してしまいます。
つまり、三度の食事以外に間食する回数が多い人や、
糖分を含んだ飲み物を飲む機会が多い人、まただ液の分泌量が少ない人などは、むし歯のリスクが高くなります。
柑橘系のジュースやお酢なども酸性度が強く、むし歯ではないですが、歯を脱灰する要因になります。
また、ビールやワインなどのアルコール類も酸性であるため、
長い時間をかけて飲酒をすることも脱灰のリスクを高めることになります。
日常の中に、脱灰と再石灰化のバランスを狂わせる生活習慣がないかどうかを見直すことも、
むし歯予防の大切な要素になります。
再石灰化を促す環境を整えるためには、必ず食後の歯みがきを行い、
口の中に酸をつくる糖を残さないことが重要です。
また、虫歯菌の塊であるプラークや、それが固まった歯石を徹底的に除去するため、
定期的に歯科医院でのクリーニングも重要です。
最近では、再石灰化を促すミネラル成分を歯に浸透させる「ミネラルパック」も注目されています。
これは、牛乳由来の成分であるリカルデントを配合した「MIペースト」というものを
パックするように歯に塗る方法です。
MIペーストにはだ液と比較するとはるかに高濃度のカルシウムとリンが含まれています。
これを使うことで、脱灰によって失われたミネラル成分が効率よく歯に再吸収されます。
使用方法としては、まず歯みがきを行い、口腔内を清潔にした後、
綿棒などを使って歯全体にペーストを塗布するのみです。
牛乳由来の成分なので安心してご使用いただけます。(牛乳アレルギーの方はご使用いただけません)
10~30分程度したら軽くゆすいでいただいても大丈夫です。
これまでのむし歯予防は歯磨きによって糖や虫歯菌をとり除き、だ液により再石灰化されるのを待つしかありませんでした。
しかし、MIペーストを使うことで、むし歯になりにくい丈夫な歯をつくるために必要なものを補給してやるケアが
行えます。丈夫な歯をつくるためのミネラルパックは、新しい時代のむし歯予防法と言えるでしょう。
当院でもMIペーストを使用した予防歯科を行っています。
また、販売も行っているので、ご希望の方はスタッフまでお気軽にお声掛けください。
みなさまのご来院を心よりお待ちしております。